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今日もまたつまらない1日 Mk2 その1 

 どんな世界にだって、裏の社会と言うものが存在するものだ。
 それが超能力者の集団だったり、宇宙人だったり、それは世界によってさまざまだろう。
 どうやら俺たちの世界にとって、それは魔法のようだ・・・。

 
 俺は今日もまたつまらない1日を、だらだらと過ごすはずだった。
 いつものように朝起き、いつものように顔を洗い、いつものように朝食を軽くとり、歯を磨き、etc・・・。
 なんの変わり映えもなく、いつものように学校に着き、教室に向かったわけだが、今回はいつもの1日とは少し違ったようだ。
 これが、体育祭やら、文化祭のような、1年のうちに必ず起こりえる行事のように平凡なことなら良かったのだが・・・。

 我が1-A組教室の前にある学年掲示板には、普段見ることのできない人だかりができていた。
 さすがにあれだけギャラリーがいれば、普通の学生は素通りできない仕組みになっているわけで。
 俺もその人だかりから、何が貼ってあるのか多少興味があったわけだ。
 しかしそれを見てあいた口がふさがらなかった。
 そのA3ほどありそうなプリントには、龍海高校(たつかいこうこう)学生新聞と書かれていた。
 ちなみに龍海高校とは、この極一般普通の最大公約数的な高校である。
 問題はそこではなく、その隣。
 龍海高校学生新聞という文字のすぐ脇には、でかでかと『脅威!龍海高校男子生徒に魔法使いの疑い!!』と書かれていたのだから。
 記事にはおそらく学校の裏であろう場所に、我が高校指定のブレザーを着た男子生徒の後姿と、それにまとわりつく奇妙な青白い光が写された写真がこれまたでかでかと貼り付けてある。
 魔法・・・ね・・・。
 「面白いことになってるみたいですね。」
 後ろから声、なんだか毎日聞いているような耳障りな声だ。
 「おはようございます、シュン」
 その声の主は俺の隣に移動すると記事に目を向け「これはこれは」と呟く、すでに見てたくせに白々しい。
 ちなみにシュンというのは俺の名前、正確には御門 瞬(みかどしゅん)。
 それでもって、現在俺の隣にたっている常に敬語の奇妙な男は、佐倉 劉士(さくらりゅうし)、小中高との腐れ縁。
 身長は173cmほどで俺とどっこいどっこいだ、しかしながら成績は優秀、この間の中間テストでは学年1位を獲得した。
 しかも、男性としてはちょっと長めのストレートな髪、しっかりとした顔作り、いつもへらへらしてるようだが顔はいい部類だ・・・いやおそらくもてる部類だろう・・・。
 もう何年こいつと顔をあわせているか分からないが、未だにこいつの考えはさっぱり分からん。
 おそらくこの騒ぎも・・・。
 俺は横目でこいつを見ていたが、すぐに記事に目を移す。
 えー・・・なになに・・・?
 信じられないことかもしれないが、これは先日現実に起こった出来事である。
 何もない場所に突如現れた少年、それはまさにテレポテーション。
 私も目を疑ったが、すぐにシャッターをきった。
 移動の瞬間ではなかったものの、魔力のようなものの余韻が残っているところをカメラに収めることができた。
 これがその瞬間だ。
 その少年は走って移動していたので見失ってしまったものの、その容姿から、この学生であることは間違えない。
 そもそも魔法というものは・・・etc etc。
 ふむ・・・発行・・・龍海高校新聞部・・・。
 なるほどな・・・。
 再度隣に目を移すと劉士は相変わらずへらっとした顔で記事を眺めている。
 まったく・・・。
 「それにしても・・・、こんな人のあら捜しみたいな事して何が楽しいのかね・・・新聞部は・・・。」
 隣に向けていったつもりだったのだが、まったく別のやつの耳に入ったらしい。
 「楽しいわよ!」
 声は後ろから、振り向くと背丈160ほどの女子生徒が腕を組み立っていた、きらりと輝く眼光に眼鏡、そのわりにはポニーテールが何故か子どもっぽく見える、あーりぼんのせいか・・・。
 こいつは確か・・・1-Bの赤石 由希(あかいしゆき)だったか・・・。
 こいつに目を付けられたらやばいというのは1-Aでも有名な話だ。
 とことん調べつくされ、尾行され、人のプライベート何のその、犯罪すれすれ根性の新聞部員・・・。
 「私はこの新聞をみんなに見てもらうのが生きがいなの!みんなが期待するような面白い記事を書くことが私の使命、そのためだったらどんなことだってするわ!」
 おいおい・・・道を踏み外すなよ・・・?
 「まぁ、お前が何しようが俺の知ったことじゃないが・・・。あんまり良くないんじゃないのか・・・?こういうの。」
 そう俺が言うと、赤石は目をパチパチさせ、ニィッと笑って言った。
 「こういうときに、そういうこと言うっていうのは結構怪しと私は思うわけ。ねぇあなた!魔法について何か知ってるんじゃない?」
 人差し指をこちらにむる。
 むやみに人を指差してはいけません。
 「あほ、知るか。」
 そう言って俺はその場を後にして教室に入った。

 
 意味も無く長い担任のありがたいお言葉を受け、俺は帰り支度をしていた。
 時間は4時、部活がある人間、はたまた委員会のある人間は、まだ学校に居残ることになるのだろう。
 そんなことを考えていると、教室の黒板の上に置かれたスピーカーから『ピンポンパンポーン』とにぎやかな音が流れる。
 『1年A組御門瞬、同じく1年A組佐倉劉士、至急3階多目的室に来てください。繰り返します・・・。』
 6限とHRを終了し帰る気満々だった俺には、やたらと耳障りな放送だった。
 その放送から流れる女性の声は俺の知った声だったため何が言いたいかは一発でわかった・・・。
 俺が前の席の劉士の顔をうかがうと、やつもこちらを見ていたようだ。
 やれやれと両手の手のひらを上に上げている。
 あいつもこの放送の意味を理解したらしい。
 劉士と二人で知らん振りすることも悪い手ではないと思うのだが・・・。
 まぁあとが怖いしな・・・。
 俺と劉士は、帰り支度を済ますとそれを持って教室を出た。
 「参りましたね。」
 スマイル顔を崩さないまま言う劉士。
 「俺はさっさと帰って寝たいのだが・・・。」
 そんなことを答えて俺は足を速めた。
 

 3階の多目的室。
 普段は部活や委員会の打ち合わせ等に使われるはずの教室なのだが・・・、今は誰がどう使おうがどうでもよいとされている教室のようだ。
 劉士を先に入れ、俺も後から教室に入る。
 そして扉に鍵をかけた。
 中では一人の女子生徒が立っていた。
 高校生としては未発達な身長や顔、やや癖毛なロングヘア、ぱっちりとした目や小さめの口、まぁかわいいといえばかわいいのか、俺から言わせればただのあほだが・・・。
 こいつは、漣 瑠璃(さざなみるり)、劉士と同じよいうに俺と小中高の腐れ縁だ。
 俺と瑠璃の前には会議用の長テーブルがあり、その上にはどこかで見た気がするA3のプリントがおかれていた。
 劉士も「やっぱり」という顔をこちらに向けており、俺はひとつため息をついた。
 「こ、これはどういうことですか!瞬君!劉君!」
 ばん!と机に勢いよく手のひらを落として瑠璃は言う。
 「その前に俺からも言っておくぞ瑠璃、こういう時放送で呼び出すな、余計怪しまれるぞ。」
 「はぅ、ごめんなさい・・・。」
 下を向く瑠璃、まぁお前があの手の放送に前々から憧れを抱いてたことは知っていたんだがな・・・。
 「と、とにかくです!!これはどっちがやったんですか!!」
 目をぎゅっと瞑って声を荒げる瑠璃。
 それに対して劉士は何も言わずにニコニコと笑ったままだ。
 それは俺に言ってくれという意思表示なのか・・・?
 「あのな瑠璃、記事は読んだんだろうな。」
 俺がぶっきらぼうに聞くと。
 「もちろんです!!」
 ため息が出る・・・、ならばその質問は愚問のはずだぞ・・・。
 「魔法学園の教師ですら困難とされるテレポテーションなどという超高等魔法、んなもん使える高校生が2人以上いるというのなら教えてほしいものだな。」
 俺はそう言って横目でやつを見た。
 相変わらず笑顔を崩さない。
 瑠璃も「あ・・・」と声を上げてじーっとやつを見ると叫ぶ。
 「劉君!!!何でこんなことしたんですかぁ!!!」
 その怒りの声とともに瑠璃の体から赤いオーラのようなものがもれる。
 「こらこら・・・、そんなの見られたら一発でばれるぞ、怒ると魔力がもれる癖を何とかしてくれ・・・。」
 瑠璃は魔力のコントロールがひどく苦手だ、そういう魔法使いは意識とは無関係に魔力がもれてしまうことがある。
 魔法使いにもやはり得意分野というものがあり、俺は魔力のコントロールが得意といえるだろう。
 劉士は、魔力の全容量及びその爆発力が群を抜いている。
 今回のテレポテーションにしても、魔力の爆発力が問われる魔法なだけに、今まで高校生で使えたという話は聞いたことがなかったのだが、劉士は例外のようだ。
 はて・・・瑠璃は何が得意なのか・・・まったく見当がつかない。
 瑠璃の怒りの矛先を向けられている劉士は、悩んだようなしぐさを見せる。
 下手なことを言うと瑠璃の攻撃魔法が飛んで来るかもしれんぞ、本人無意識のうちにな・・・。
 まぁ劉士には通じないんだろうが、その爆発に巻き込まれるのだけは勘弁だ。
 「いや、昨日はたまたま遅刻しそうだったもので・・・。」
 そう言って劉士は前にあったパイプ椅子に腰を下ろした。
 俺もそれを見て隣にあったパイプ椅子に座る。
 「遅刻かぁ・・・、遅刻はいけないよね・・・。」
 そう言って瑠璃はぺたりと腰を下ろした。
 まさか今ので納得したんじゃないだろうな・・・。
 「そうじゃないだろ、うちのリーダーはなんで禁止されてる魔法を使ったのかといいたいんだ、そんな理由じゃ済まされんぞ。」
 あまりに不甲斐無いリーダー瑠璃にフォローを入れるように俺は言ってやった。
 「おっと、それは間違えですよ、シュン。そもそも魔法の使用は禁止されてはいない・・・。まずいのはばれることであって、魔法を使うこと自体は禁止されてはいないんです。現在のこの世界に影響を与えることなく、いかに我々が魔法を使い生活を豊かにできるかが、この普通高校入学制度の狙いでもあると主張する学者もいますよ。」
 「それでまんまと見られてしまったと。」
 「いやあ、面目ないですね。」
 何でそんな風に笑ってられるのかが俺にはわからん。
 「と、とにかくー、劉君は魔法の使用を控えてください!!これが魔法学校に知られたら・・・、私達どうなるか・・・。」
 お前は物事を大げさに考えすぎだ、この新聞記事を本気で信じてるやつなんてほとんどいないんだぞ。
 むしろ身構えるほうがまずいと俺は思うんだがね・・・。
 その時プルルルルと瑠璃の鞄が鳴り出す。
 「あ・・・、ごめんなさい、電話・・・。」
 瑠璃はそう言って鞄から携帯電話を取り出すと答えた。
 「はい、もしもし、え!?」
 こちらからでも瑠璃の顔から血の気が引いたのがうかがえる。
 「は、はい・・・、はい、・・・はい、分かりました。では、今からそちらに・・・、はい。それでは・・・。」
 そう言って電話を切ると瑠璃は青い顔をゆっくりこちらに向けた。
 「ど、どうしよう・・・。レミリア先生だった・・・。今こちらに来てるからって・・・。」
 レミリア先生は俺達三人の中学時代担任だった先生だ。
 中学といっても魔法学校は小中一環なわけだが・・・、レミリア先生には俺たちが7年生の時に新米教師として俺たちの担任となり、以後3年間お世話になった。
 「どうやら・・・、報告が届いてたみたいですね。」
 劉士が少々難しい顔で言った。
 「あわわ、どうしよう・・・、わ、私たち魔法使いの資格剥奪されたりするかも・・・。」
 お前は大げさに考えすぎ。
 まぁ、大丈夫だろ、相手があのレミリアちゃんなら・・・。


 俺達魔法使いには中学を卒業したとき、魔法とは何の関係のない普通の高校で3年間生活することが義務付けられている。
 その生活の中での条件は魔法の存在を隠し通すこと、確かに劉士が言ったとおり魔法を使うことを禁止されているわけではないのである。
 その制度は普通高校入学制度と呼ばれ、常識を知るための社会勉強とされている。
 実際のところ魔法を使った職というものは少なく、魔法学園入学者達もその半分はこちらの世界で普通に生活をすることになる。
 ならば高校生活はせめてこちらの世界で生活させ順応させようという狙いが込められ、こちらの世界の生活に満足して永住する魔法使いも数多くいるらしい。
 では魔法がばれてしまった時はどうなるか、もっとも軽い例が転校である。
 しかし、以前ある高校では魔法に関わった人間すべてのものの魔法に関する記憶を消去し、その原因を作った魔法使いは魔力を封じられ、魔法に関する記憶をすべて消されたという件もあったようだ。
 瑠璃はそれを恐れているんだろうが、どちらにしろ考えすぎだ。
 その最悪のケースを引き起こした魔法使いは、高校に魔法テロをふっかけたって話だ。
 どう考えても今回はそこまでひどい話じゃない。
 魔法使いがこちらで生活している以上誰もが通る道なのさ。

 『カランコロン』
 扉を開けるとそんな音がする。
 レミリア先生が指定した場所はちょっとおしゃれな喫茶店だった。
 何だってこんな場所に・・・。
 「やっほー!みんなこっちこっち」
 などと声を上げて、手をぶんぶん振っているのは我等が恩師レミリアである。
 たしかハーフらしいが、どこの国とのハーフなのかは定かではない。
 俺がレミリア先生の向かいに席に座ると、劉士は隣、瑠璃はレミリア先生の隣に座った。
 レミリア先生は金髪で後頭部にお団子を作った髪形、眼鏡をかけ真っ赤な口紅をつけ、胸の谷間が目立つ赤いタイトスカートのスーツに白い白衣、どうやら本人はこれが大人の女教師のスタイルっと決め付けているようだが・・・、彼女の場合は性格がまるでついていかない。
 同僚の教師にいい加減学生気分は捨てなさいとしょっちゅう注意を受けている。
 まぁそこが人気の秘密でもあるわけだが。
 「みんなひさしぶりー!!ねね!元気してたー?」
 思いっきり笑顔を浮かべて言う。
 「はい、元気ですよ。」
 と劉士。
 「先生ほどじゃないけどな。」
 と俺。
 先生の有り余る元気に相反してか、隣の瑠璃は暗い表情を浮かべていた。
 「先生・・・きょ、今日はどういったご用件でしょうか・・・。」
 瑠璃が今にも消え入りそうな声で言う。
 「んー、率直に言ってしまえば注意しに来たのよ。あなた達が一部の普通の生徒に魔法を見られたみたいだからね。」
 その台詞に、瑠璃はビクッと体を揺らし、劉士は「やっぱりですか」と苦笑を浮かべていた。
 レミリアちゃん・・・あなた達といいましたが、見られたのは劉士一人です。転校させるならさっさとさせちゃってください。
 「あんまり簡単に見ないほうがいいわよ?ばれたら転校じゃ済まされないかもしれないしね・・・あなた達・・・全員。」
 「ヒィ」と声を上げる瑠璃、俺はんなわけあるかい、とウェイトレスが持ってきたコーヒーを口にした。
 実際のところ、レミリア先生も瑠璃をからかって遊んでいるだけのようだしな。
 しかしまぁ、第一に突っ込むべきことを俺は先生に言ってやらねばなるまいよ。
 「なんで一般客の多いこの喫茶店でこんな話をするんですかね・・・。」
 それを聞いてレミリアちゃんは舌をチョロッと出すと。
 「だって、久しぶりにこっちに来たのよ?いろんなところ行きたいじゃない。それにね、私教え子とこういうとこ入るのにすごく憧れていたの。」
 ほら見ろ、この先生相手に物事を深刻に考えても損を見るだけだぞ瑠璃。
 「ね、ね!せっかくだからいろんなところ行きましょう!カラオケとか!映画とか!!あっ!こっちで売ってる服もちょっと気になるなぁ。」
 瑠璃はかわいそうに、真っ白に燃え尽きたようだ・・・。
 俺は劉士と顔を見合わせると苦笑いをした。
 

 商店街の歩道を歩く4人、どうやらショッピングに行くことが決まったらしい・・・、というより先生が勝手に決めた。
 先頭には俺とレミリア先生、その後ろに2mぐらい距離を置いて瑠璃と劉士。
 歩きながら先生は俺に耳打ちしてきた。
 「瞬君、あの二人のことをよろしくね。」
 そんな笑顔で言われてもな・・・。
 「リーダーは俺じゃなくて瑠璃ですよ?」
 先生はちらりと後ろを見るとすぐこちらを向いてぎこちない笑顔を見せる。
 ニコニコと何を考えているか分からない劉士の顔と、不憫なほどに下を向いている瑠璃の姿が目に入ったらしい。
 「それは・・・分かってるんだけどね・・・。」
 あははと苦笑い。
 言いたいことは分かりますよ。
 瑠璃がリーダーって聞いたときはいろいろ問題だと思ったが、かといって劉士にやらせるのは更なる悲劇を生みそうな気がするし、俺自身まったくやる気なかったのだから・・・。
 「それじゃ、最初このお店!」
 と言ってレミリアちゃんがダッシュする。
 はて・・・、このまま帰っていいか・・・?
 

 朝、いつものように学校へ向かう。
 昨日はひどい目にあった・・・。
 散々荷物持ちさせられるは、カラオケで変な曲リクエストされるわ、いつの間にか先生にはお酒入ってるわで。
 しまいには、飛行機で沖縄行こうと言い出しやがったんで、劉士に攻撃魔法を許可させた。
 しばらく歩くと学校の校門が見える。
 昨日あんなことがあっただけにやや入るのが憂鬱になる、まぁここまで来て引き返すつもりもないんだけどな。
 そんなことを考えていると、
 「あなた!魔法使いでしょ!!」
 と声をかけられる。
 やたら聞き覚えのある声だな・・・おい。
 見ると昨日のお騒がせ新聞部員、赤石由希が目の前にいた。
 俺たちの敵・・・、いや全校生徒の敵だな・・・。
 そいつと目が合うと、そいつは驚いた表情で叫んだ。
 「あー!!昨日の怪しいやつ!!」
 分からないで声かけてたのかお前は・・・。
 「歩いてる男子生徒全員にそうやって声かけてるんじゃないだろうな・・・。」
 目を細くしてそいつの顔を見る。
 「もちろんかけてるわよ!これくらいの努力は惜しまないわ!少しでも何か発見があるかもしれないじゃない。」
 真性のあほの様だ・・・。
 何が彼女をそうさせたのか・・・。
 まぁ俺には関係ないことか・・・。 
 「あんまり人に迷惑かけるなよ。」
 そう言って俺は昇降口を目指す。
 「ちょっと待ちなさいよ!!あんたにはまだ聞きたいことが・・・!!」
 そんな声は無視、聞こえない、うん聞こえない。
 さらに俺は足を速めた。


 とまぁ・・・、自分が軽率だったことは謝ろう・・・。
 ただこれは何か・・・、新手の嫌がらせか・・・。
 四六時中視線を感じるのだが・・・。
 先ほど廊下を歩いた時ふと後ろを見たが、柱の後ろに誰かが隠れているのはもろばれだった。
 話しかけたら何を言われるか分からない、だから気づかない振りをしてるんだが・・・。
 「あんまり元気がないみたいですね。」
 声をかけてきたのは劉士だ、いつものスマイルを崩さない。
 いい加減その顔は見飽きた。
 「俺に話しかけないほうがいいぞ・・・、変な虫がこっちを見てるかもしれないからな・・・。」
 劉士は難しい顔をするとポンッと手のひらを打った。
 「なるほど、新聞部に目を付けられたみたいですね。それは災難だ。」
 言うな・・・、悲しくなる。
 「しかし・・・、何故お前じゃなくて俺なのか・・・、お前のほうがよっぽど怪しいだろ・・・。」
 劉士はフフと笑うと、
 「それは先日の会話が原因じゃないでしょうか、明らかに彼女はあなたを妖しいと思っていたみたいですし。」
 と言う。
 んなことは分かってる・・・。
 「人が誰に興味を示すかは人によって大きく異なりますよ、彼女にとってはあなたがその対象だった。」
 何が言いたいんだお前は・・・。
 「しばらくは会話を控えましょうか、僕だって目をつけられたくはありませんからね。瑠璃にも伝えておきましょう。」
 そいつはどうも。
 お前の顔をみる機会が減るとなると嬉しくって飛び上がりそうだ。
 
 
 放課後、いつものように帰り支度をしていると、携帯電話にメールが届く。
 知らないアドレスからだな・・・。
 見ると、
 「放課後、学校の屋上まできなさい!優秀な新聞部員より」
 などと書かれている。
 何故やつが俺のメールアドレスを知っているのか・・・。
 やはり敵に回すと恐ろしい、そんな気さえしてきた。
 もちろんこんなもんに付き合うつもりはない。
 っと言いたいところなのだが、明日何を言われるか本気で分からんし。
 確証もないまま『あの魔法使いの正体は1-A御門瞬だった』とかでっち上げられでもしたらめんどうくさい。
 一応付き合ってやるか・・・。

 屋上へ向かうとやつはいた。
 メモやカメラを持って屋上のフェンスに腰をかけている。
 すこしでも後ろに体重をかけたらまっさかさまだぞ・・・。
 よっぽど度胸があるのか・・・、よっぽどスリルを味わいたいのか・・・。
 「おっと、ちゃんと着たわね!来なかったら明日面白い記事を書いてあげるつもりだったのに・・・、とっても残念だわ。」
 そんなことだろうと思ってたんだが・・・。
 「それで・・・?いったい何のようだ・・・?」
 俺は頭をかいた。
 「ずばり!魔法使いはあなたでしょ!」
 最初は何か知ってるでしょ?と聞かれた気がしたが・・・。いつの間にか俺が魔法使いになってしまったらしい。
 まぁ、外れてはいないんだがな・・・。
 「あほか。」
 ばれる訳にはいかないんで・・・、こっちもしらを切るしかないんだ。
 そんな俺の突っ込み何のその赤石はさらに続ける。
 「あなたは昨日私の記事を見て、新聞部員は人のあら捜しして何が楽しいんだって言ったでしょ?普通だったら嘘だ!とかでっち上げてる!とか信じられない!って言うのが第一印象、なのにあなたは、魔法の存在はすでに認知しているかの言い草だったでしょ?」
 む・・・思いのほか鋭いな・・・。
 そもそもあれは劉士に向けた言葉だったからな・・・。
 「それにしたってどう考えてもおかしいだろ魔法使いなんて、そんなもんがいるんならとっくにテレビで騒がれててもおかしくないと思うぞ?」
 「だからこそあたしがそれを証明するの!きっと世の中も大騒ぎよ!!」
 そうなったら俺は魔法も記憶も完全消去だろうな・・・。
 「付き合いきれん。俺は帰る。」
 そういって後ろを向こうとした瞬間だ。
 「よっ。」
 そう声を上げて赤石由希はフェンスの上に立ち上がった。
 それにはさすがに俺もどきもを抜かれた。
 度胸と言うよりすでに変体行為だ。
 命が惜しくないのか。
 「ばかかお前!今すぐ降りろ!」
 すると赤石は穏やかな微笑を浮かべこちらを見ると、フェンスの上を綱渡りするように歩き出した。
 風はないとはいえバランスを崩し下手をすれば、6階建てのこの学校の屋上からまっさかさまだ。
 「ねぇ・・・、魔法使いって空飛べるのかな・・・。」
 チラリとこっちを見る。
 「しるか・・・。」
 それを聞いて、赤石はニッと笑うと。
 フェンスから落ちた。
 いや、落ちたというよりは飛び降りた。
 「ばっ!」
 信じられないことが目の前で起こった。
 しかし、それに対して考察する時間はすでにない。
 走った、そして1mあろうフェンスを飛び越え俺自身も地面へとダイブする。
 間に合え!!間に合え!!
 はるか先まで落ちている赤石、どう考えてもやつの方が先に地面につくだろう、そうなったら・・・。
 ええい・・・!
 魔力開放・・・。
 魔力をずれもなく均等に体全体にいきわたるようにコントロール・・・。
 体に均等に魔力をまといそれを高速で体中をめぐるように流すことが飛行魔法の基礎。
 そしてそれプラス風の魔法・・・。
 加速。
 「間に合えー!!!」
 俺は吹き荒れる風で加速し超高速で落下した。
 とどいた・・・。 
 そして赤石を抱きかかえる。
 地面まで2mない。
 「あっがれー!!!」
 さらに魔力を振り絞る。
 それを均等に体にまとわなければ・・・。
 ミリ・・・いや・・・ミクロ単位の魔力コントロール・・・。
 それは見えない穴に糸を通すかのように・・・。
 魔力を均等に帯びた俺の体は黄色に光る。
 そして地面30cmすれすれをすべり上へと急上昇する。
 「飛んでる・・・。」
 声を上げたのは赤石。
 「これが魔法・・・。」
 
 ゆっくりと屋上に着地した。
 そして・・・。
 「馬鹿かお前は!!!!!死ぬきか!!!!」
 汗が噴出す。
 背筋が凍った・・・。運が悪かったら二人であの世行きだ・・・。
 いや運が良かったからこうして助かっている・・・。
 「あ・・・。」
 ビクッと体を硬直させる赤石。
 俺はその体をさらに揺さぶった。
 「俺が飛べなかったらお前は間違いなく死んでいたんだぞ!!!どうしてそんなことができる!!!」
 「私は・・・。」
 「屋上から飛び降りることが新聞部の役目だっていうんなら今すぐやめちまえ!!!」
 「あ・・・私・・・。」
 赤石の目はかすかに潤んでいた。
 散々叫んだからか、それともその目を見てか・・・少し落ち着いた。
 「くそ・・・、飛行魔法はあいつでも困難な超高等魔法なんだぞ・・・、たまたま俺がコントロールできたからであって・・・、ええい・・・。」
 俺は赤石に背を向けて散々愚痴ってやった。
 「あの・・ごめ・・・私・・・。」
 もう自分が何を言っているのか分からなくなっているだろう赤石に、俺は右手を突き出した。
 「ん。」
 「え?」
 キョトンとする赤石。
 「カメラだ、今すぐ出せ。」
 「あ・・・うん・・・。」
 へたりと座り込む赤石からカメラを受け取る。
 「くそ・・・デジタルカメラか・・・。」
 俺はそう言うと立ち上がってカメラからSDカードを抜き取る。
 へし折ってやっても良かったんだが・・・
 あまり高価なものだったらさすがに可哀想と良心が働いた。
 「中に入ってるデータみるぞ、それくらいは命を助けてもらった代金だと思え。」
 そう言って俺は右手の人差し指と親指でUの字を作る。
 その人差し指と親指の中間にSDカードを置くとカードは宙に浮きながらくるくると回り始める。
 現代の魔法の技術は結構万能でこの手のデータを機械なしに覗くことも消すこともできる。
 そういった役立ちそうな魔法を俺は主に覚えた。
 故に攻撃魔法のようなものは皆無なのだが・・・。
 おそらく現代には必要あるまい。
 「やっぱりな・・・、さっきもちゃっかり写真とってやがったな・・・、それに尾行してるときにも数枚か・・・、こいつは消させてもらうからな。」
 パァっと右手が光るとカードは回転を止めた。
 そしてカードとカメラを返す。
 「それじゃな、もう無茶するんじゃないぞ。」
 そう言って俺は、屋上の出口へと向かう。
 「ちょっと待ちなさい!!何か言うことはないの!!私はあなたの正体に気がついたのよ!口を封じたりするんじゃないの!!」
 どんな偏見だ・・・、まぁ確かに普通はそうするかもしれないな・・・。
 「お前は新聞部だから・・・、写真と言う証拠がなければ記事にならないだろうし・・・。記事にせずに噂として広めるのはお前のプライドがゆるさんだろ?」
 たぶんな・・・そんな気がした・・・。
 こいつならはしゃいで何か騒いだりはしないと・・・そんな気がした・・・それだけだ・・・。
 それに・・・ばれちまったのは事実だし。
 記憶の操作は一部を除いて犯罪だ。
 そもそもそんなこと俺にはできやしないが。
 「じゃあな・・・。」
 そう言って屋上を出る。
 「あ・・・あの・・・ありがと・・・。」
 その声は小さく消え入りそうな声で、俺の耳には届かなかった。


 「あれ・・・?」
 眩暈がした。
 慣れない高速での魔力集中、どうやら限界を超えてたらしいな・・・。
 ふらふら階段を下りると足を踏み外す。
 すると階段から落ちそうになった俺を何者かが支えた。
 「お疲れ様です。」
 何だお前か・・・、その声を聞いてか急に意識が遠のきそうになる。
 「悪い・・・、魔法見られた・・・。」
 「あれは仕方ないでしょう。」
 劉士は相変わらずのスマイルで言う。
 「あなたが飛ぶ様子、魔法で周りから見えないようにはしておきましたよ。おそらくあの方以外にはばれてはいないでしょう。」
 そいつはありがたいのだが・・・。
 「隠しただけかよ・・・。手を貸してくれりゃいいものを・・・。」
 「無茶を言わないでください、あの状況で手を貸せる人間がいるとすれば、それは神以外の何者でもありませんよ。おかげさまで僕は芸術のような高速魔力の均等化と飛行魔法まで見せてもらいましたけどね、あれは僕でも真似はできません。」
 「くそ・・・言ってろ・・・。」
 そこまで言って俺は本格的に意識を失った。
 
 
 
 由希はカメラにSDカードを差し込むとカメラで保存された画像を見る。
 あいつを捉えた写真だけが綺麗すっかりなくなっていた。
 衝撃の瞬間を捉えた写真ももちろん消されていたのだが・・・。
 「それにしても・・・、勘がいいんだか悪いんだか・・・よく分からないわね・・・。」
 そういって携帯電話のフォトフォルダを確認する。
 すると先ほどの飛行した瞬、そして体から黄色のオーラを放出している瞬の写真が残っていた。
 「・・・たしかに、ちょっとずるかったかな・・・。」
 そういって携帯電話を操作する。
 「フェアじゃないよね・・・こういうの・・・。」
 携帯電話の画面に文字が浮かぶ。
 『この2件のデータを消去しますか?』
 「・・・」
 由希はゆっくり携帯電話の決定ボタンを押した。
 
 
 
 朝・・・昨日よりも憂鬱な朝が訪れる。
 頭は昨日の副作用かひどく痛むし、何より魔法を知られてしまったことに対し・・・。
 校門を抜けると背中をバンッと叩かれる。
 「うお!」
 そんな声を上げていた。
 叩いた張本人は・・・。
 「お前か・・・赤石由希・・・。」
 「えへへ、おはよ。」
 舌を出していたずらに笑う赤石。
 「大丈夫よ?今は記事を書いたりはしないわ。ちゃんとあなたから決定的な証拠写真をつかんでから記事にするんだから!」
 そう言ってグッと握りこぶしを握る。
 付き合いきれん・・・。
 「さよか・・・、精々がんばってくれ・・・。」
 そう言って重たい体を引きずりながら俺は昇降口へ向かう。
 「あ!ちょっと待ちなさいよね!!!」
 元気のいい赤石の声が朝早くから響いていた。


 勘弁してくれ・・・




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懲りずに新しいの書いてます・・・
忘れる前に書いちゃいたかったからさ・・・
相変わらず設定も適当
今回も背景描写がまったくない・・・
il||li _| ̄|○ il||li
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