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今日もまたつまらない1日 10 

 時計は5時5分前を指していた。体は酷く重いくだるい。ベットから体を起こす気は振り絞っても出やしなかった。まだ・・・、こんなにも時間があるじゃないか。このまま2回目の睡眠に身をゆだねるのも悪くない、もしそれを行うとしてだ、果たして3年間の無遅刻無欠席を果たそうとする野望に傷は付きやしないだろうか。正直今はそんなことはどうでもいい、今すぐ眠りに尽きたい、今日一日中寝ていたい。しかし習慣とは怖いものだ、火月は目を覚ますと意識的だろうか無意識的だろうか必ずすることがあるのだ。

 火月は立ち上がるとカーテンを開けた。
 「まだ5時だというのに・・・。」
 朝日がまぶしい、日が昇るのがだいぶ早くなった気がする。
 「今日も・・・、晴れだな・・・。」


 「おーっす!珍しいな、こんな時間に登校とは。」
 しまった・・・、そう思った。まさか早めに登校したことが裏目に出ようとは・・・。自宅から学校への通学路も後半へと差し掛かり、後10分もすれば教室の机に突っ伏していただろうに。
 「今日は格別元気が無いな、少しは俺を見習えよな!」
 そりゃそうだろう、重い体を引きずりようやくここまで来たのだ。よもや残り10分とはいえ、こいつと通学を共にするとは・・・、ますます気が重い。こいつの大音量は頭に響く・・・。
 「まぁ元気出せよな!!」
 はっはっはと声高らかに火月の背中をバンバン叩いたのは、火月の席の前に陣取る、朝から晩まで高テンションを維持する超人『猛』であった。
 「そういや今日はビックニュースがあるぞ。」
 猛は人差し指をピンと突き立てそんなことを言った。はて、こいつのビッグニュースがビッグニュースであったことが今まであっただろうか・・・。だが猛は嘘をつかない、ニュースがビッグだろうがスモールだろうが真実なのは間違いないだろう。聞くだけでよければ聞くが。
 「どうやらうちのクラスに新しい担任が来るらしいぜ?臨時の講師らしいけどな。」
 まるで機密事項を伝うかのようにこそこそと耳元で囁く。それ・・・隠す必要あるのか・・・?
 しかし・・・、担任なら間に合っているはずだが・・・。
 「それなんだけどな、どうやらうちの担任は昨日交通事故かなんかで入院したって話だ。」
 入院・・・? 何故だろうか・・・、妙な気分だ。突然の事故、急な臨時講師、偶然か・・・。そんなことを思いながら、火月はやや歩幅を広げた。
 

 その後、封を解いたかのように放たれる猛のマシンガントークを華麗に聞き流しながら、教室に無事到着、火月はため息をついて席にどっしり腰を下ろした。思いのほか10分は長かった。すべて聞き流したつもりではいたが頭ががんがんするしな。
 机に突っ伏して数十分、ようやく教室に人が集まりだし、いつものにぎやかな教室へ。美咲も遅れながらも登校してきたようだが、今は顔を上げる気力も無い・・・。
 そういえば美咲に聞かなければならないことがあったな・・・。
 火月はゆっくり体を起こした。火月には先日の夜の記憶に穴がある、ライラクスを追い詰めた後の記憶が無い。それを美咲に問いたださなければ、そう思った時、既にホームルーム開始時刻を回っていたようだ。
 普段のホームルームには見慣れぬ男が二人、教室に入ってくる。それを見て火月は理解した。猛の話は本当であったと・・・。
 二人の男、まず先に入ってきたのは見慣れた顔であった。我が校の教頭、小柄な体に誰でも人当たりよさそうな顔は印象的。もう一人の男は見覚えの無い男だ。スーツをびっしりと決めた大柄な男、鋭い眼光がこちらを覗いてる様な気がして火月は目をそらした。
 似たようなことが以前なかったか・・・。転校生としてあの場に立った人間は、剣を振り回すびっくり少女だったが・・・。今回、あの大柄の男はどうだ、あまりにも美咲の時と類似してはいないか、そんなことを思い火月は美咲に視線を向ける。いつに無い迫力で教卓を見据える美咲の目には、明らかにあの大柄の男が映っていた。
 「相模 勇士(さがみゆうし)です、事故で入院なさった上宮(うえみや)先生の代わりに臨時で担任を勤めさせていただくことになりました。短い間かもしれませんがよろしくお願いします。」
 丁寧に挨拶をして頭を下げる。雰囲気は悪くない、普通の教師であれば、ちゃんといい付き合いができただろうにな・・・。
 どうしてだろうな・・・、体が拒否反応を起こしているかのように、精神が新しい担任を否定する。奴は敵だ、気をつけろと、そんな危険信号が体中を駆け巡っていた。
 
 
 授業にはとても集中できるような状態じゃなかった。
 新しい担任が行う数学の授業は、今まで担任がやってきたそれよりわかりやすい・・・。
 だが・・・。気が気でなかった。奴が近くを通るたびに背筋がぞっとする。気を抜いたら殺られる。そんな気さえした。ライラクスにあった時以上のおぞましい感覚だ。今にして思えば、ライラクスにすら、これほどの敵意は感じなかった。
 奴は何かある。そう確信した火月は、4限目が終わるとすぐに美咲を連れて屋上へと向かった。
 美咲は何かを知っている、今朝相模勇士を見つめる美咲の目は普通でなかったのだから・・・。
 「奴は何者だ・・・。」
 それだけを問う。今朝美咲に聞こうとしていたことなど既に火月の頭には無かった。あるのは危機感。奴が何者か、その1点だけだ。
 「・・・。」
 数秒の間、話すべきか、そうでないか、そんなことを考えているのだろうか。
 そして口を開く。
 「彼はグランシアト・・・。私達の・・・仲間・・・。」
 その美咲の言葉にホッと胸を撫で下ろす。
 「そっか・・・味方か・・・。」
 火月がそう漏らすと、美咲は厳しい目こちらに向ける。
 「安心はできない・・・、火月にとって・・・彼は敵でしかない・・・。」
 一瞬にして火月の背筋が凍る。美咲のその言葉を聴いたからではない。既に後ろに敵がいたという事実にまるで気がつかなかったからだ。
 いつの間に・・・。
 美咲もハッとして跳ねるように後ろへさがる。
 「確か、屋上は立ち入り禁止だったはずだな。」
 振り返ると奴はいた。臨時の新担任がこちらを見下している。その二つの目はかつて無いほどに冷たく、そして鋭い。火月は蛇に睨まれた蛙の様にピクリとも動けなかった。
 しかし、男の右手に握られた剣を見て我に返る。
 殺られる!
 一瞬にして沸き起こる負の感情、それを押し殺して後ろへ跳ぶ。
 しかし悪あがきにもならなかった。胸の辺りを手の掌で突かれたような衝撃を伴い、火月は背中から落ちる。
 まるで見えなかった、何故自分が倒れているのか、それすら火月には理解できなかった。
 何故・・・、無論そんなことを考える時間など無い。
 立ち上がろうとした瞬間にはもう、火月の首筋には剣の切っ先が向けられていた。
 「シアト!」
 美咲が叫んだ。
 シアトと呼ばれた男はまったく表情を変えずこちらを見下している。
 そして少しも表情を変えずに口を開く。
 「メリプリア・・・、お前は使命を忘れたのか・・・?」
 冷たい声が響く。
 「水木火月を殺す・・・、その命がお前に下っていたはずだが・・・。」
 美咲はグランシアトを睨みつけ口を紡ぎ小さく震えていた。
 「お前が初めからこいつを殺していれば私がここに来る必要も無かったのだ。」
 グランシアトはそう言うと再びこちらを鋭い目で見下す。
 「いい気味だな・・・、さすがに昼間ではお前の自慢の力も使えまい。」
 死の境地だというのに笑いが漏れる。
 「へへ・・・、やっぱりあんた教師には向かないな、どうも好きになれそうにない・・・。」
 火月のその言葉にグランシアトは何も答えなかった。その代わりに右手に持った剣を火月の首に押し付ける。一筋の血が流れ落ちた。
 「シアト!だめ!」
 美咲の声が響く、しかしグランシアトは見向きもしない。
 「お前はわれわれにとって要注意人物だ、しかしそれと同時に1番簡単に消せる存在でもある。昼間は普通の人間とまったく変わりないのだからな。」
 そう言って、グランシアトが剣に力を込めると同時。
 「さぁ・・・、それはどうでしょうかね。」
 まったく別の声がした。美咲でも、グランシアトでも、もちろん火月でもない。火月は耳以上に自分の目を疑っていた。さっきまで自分の首に当てられていた剣が宙を舞っているのだから。
 グランシアトは驚愕の表情を見せると、飛び上がり宙を舞う剣を掴んだ。そして先ほどの場所から数メートル離れた場所に着地する。
 「ばかな・・・何者だ・・・。」
 グランシアトが言葉を放った相手は、火月の良く知った人物だった。それは左手に細い小剣を持ち、こちらを見ている。
 火月はまたも目を疑った。その男はこんな場所に現れるはずが無い男だったのだから・・・。
 「嘘だろ・・・、猛か・・・?」
 火月が投げかけた言葉を返すように先ほどの言葉を繰り返す。
 「さて・・・それはどうでしょう。」
 猛は、普段見せることの無い笑顔をこちらに向けた。
 いや・・・、それは猛であって猛ではない・・・。奇妙な感じ・・・。この感覚は何だ・・・、雰囲気と存在感がまるで別人そのもの・・・。
 この感覚を火月は知っている。美咲も気がついているようだ。険しい表情を猛に向け、剣を構えている。
 火月は立ち上がると猛を睨み言い放つ。
 「お前は猛じゃない・・・、ライラクスだ・・・。」
 猛はフッと笑う。やはりというべきか、その表情はライラクスそのものだ。
 「ご名答です。しかし、この体は猛という人間のもので間違いありません。」
 その言葉にハッとする。
 「まさか・・・!」
 ゾッとする・・・。もしそうなら・・・。
 「そう・・・、あなたと同じですよ。今この体はあなたの体と同じ状態です。」
 「ライラクス!!!」
 気づけば火月は握り拳を作り、猛・・・ライラクスに向かって走っていた。
 しかし・・・、殴ってどうなる・・・。あの体は猛のものだ・・・。それに殴って奴を追い出せるなら・・・。
 自分の無力さを呪うと体が止まる。火月はゆっくりと拳を下ろした。元の体に戻れず苦しんでいるのは何より火月自身だったのだから。
 「少し借りているだけです。」
 そう言ってライラクスはゆっくり歩き出す。そして、火月とすれ違い、数メートル先に立つグランシアトを見据える。
 「今は・・・、あなたの味方ですよ。今はね・・・。」
 火月がその言葉を聞いた時、既にライラクスの小剣は、グランシアトに向かって振り下ろされていた。
 グランシアトはその小剣を己の剣ではじくと後ろに飛び退く。
 「きさまぁ・・・、あのライラクスか・・・。」
 グランシアトが言葉を漏らす。
 ライラクスはグランシアトを笑みを残した鋭い眼で見据える。
 「フフ・・・、紹介はいらないようですね。もっともあなたも紹介もいりませんがね、光最強の戦士グランシアト。」
 グランシアトが剣を振り上げる、それを懐に潜るようにしてかわすライラクス、そして構えた小剣でグランシアトの脇腹を狙うも空を切る。
 二人の攻防が高速で展開されている。火月と美咲はそのレベルの違う戦いにただ息を呑むだけだった。
 激しい剣幕とともに言葉が飛び交う。
 「さすがのグランシアトも、この世界では本当の力は出せないようですね。」
 「それは貴様とて同じこと!」
 金属がぶつかり合う音が響く、二人の攻防は衰えるところを知らない。
 その攻防を見続けていた火月は拳を握り締め叫んだ。
 「そこまでだ!」
 その声に二人の攻防がストップする。
 「もうじきここにセンパイが来る、まさか一般の学生まで巻き込むつもりじゃないんだろう?」
 少なくともグランシアトはこの攻防を一般の人間に見られるわけには行かないだろう。もっとも、既にセンパイは戦いのことも承知している。それに巻き込んでしまったのは・・・、火月だ・・・。
 ここで真由の名を出すのは心が痛んだ、何より自分の無力さを痛いほどに理解した。今の自分では、この二人を止める力がないのだ・・・。
 ライラクスはフッと笑ってグランシアトに言い放つ。
 「命拾いをしましたね。」
 「貴様がな。」
 グランシアトが投げ捨てるように言うと、二人の手から剣の姿が消えた。
 美咲もそれを見て剣を消す。
 「グランシアト、あなたにいいことを教えましょう。」
 ライラクスは続ける。
 「この水木火月を殺しても・・・、あなたが思うような解決にはなりませんよ。」
 「なに・・・!」
 そのライラクスの言葉にすぐ反応を示すグランシアト。
 「今の状態は、彼の中に潜む闇を彼が押さえつけている状態ですからね。彼を殺すことは、むしろ我々に好都合なのです。彼女に感謝することですね。結果的にあなた達が最悪の方向へ向かうのを回避していたのですから。」
 そう勝ち誇るようにライラクスが言うと、グランシアトはチッと舌打ちして屋上を後にした。

 「お騒がせしましたね。」
 ライラクスは火月と美咲を見て言った。
 「今のはハッタリだな・・・。でなければお前が俺を助ける理由が無い。」
 火月はライラクスを睨みつけて言い放った。それを聞いてライラクスが笑う。
 「その通りです。しかし、すべてハッタリという訳ではないのですよ。事実、あなたが死ぬのは私にとっては好都合なんです。私にとってはね・・・。では私もそろそろ御暇しましょう。次ぎ合う時は・・・、おそらく敵でしょうね・・・。あなたもこの体を取り戻そうとするでしょうし。」
 「猛は取り戻す・・・。」
 その火月の言葉にライラクスはフッと笑うと、
 「またいずれ・・・。」
 そう残して屋上を去った。
 
 
 屋上には火月と美咲だけが残されていた。しばらくすれば真由が大きな弁当箱を持って現れることだろう。
 「その前に・・・。」
 火月は下を向いていた美咲の顔を覗き込む。
 ビクッと驚きの表情を見せ美咲が後ろに引く。
 「メリプリアっていうのはお前の本当の名前か?」
 予想外の言葉だったのか美咲はキョトンとする。そして言った。
 「そう・・・。メリプリア・・・、私達の世界で・・・美しい花という意味・・・。」
 それを聞いて、火月は優しく笑った。
 「なるほど・・・それで美咲か・・・。でもこれからも美咲でいいだろ?俺にとってお前は美咲だからな。ダメといわれても困る・・・。」
 「うん・・・、美咲で・・・。」
 メリプリア・・・、これが美咲の本当の名前だとしても・・・、そう呼びたくはなかった・・・。その名前で呼ぶと、何故か遠くへ行ってしまうような気がして・・・。
 この少女とともに過ごすのは楽しい。
 無意識にせよ火月は、それがずっと続いてほしいと・・・そう思っていた。 
 










 どんどん気力が・・・il||li _| ̄|○ il||li
 なんかどんどん手抜きに・・・
 まぁ久々なので許して・・・
 
 
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